CarGuy's blog

車に関することを徒然なるままに。

ホンダWR-Vに試乗!

価格コンシャスで話題の、ホンダWR-Vに試乗してきました。

 

現代の日本を考えさせられる興味深い車でした。

 

まずは総論です。

◯良かった点

・価格

なんといってもこの車を買う最大の理由でしょう。

最廉価グレードであるXでも十分実用になる装備レベルです。

ナビをスマホ活用にすれば、ディスプレイオーディオ、ドラレコ、ETC、フロアマットで250万くらいで乗り出せると思います。

今時、N-BOXのNAでもナビを付ければこれくらいの価格帯になってしまいます。

それと同じ価格で1.5Lエンジン+大人4人(いざという時は5人)が乗れる空間+実用的なラゲッジがついてきます。

Xグレードに受注が集中し、受注停止になったようですが、やはり日本人は慧眼です。

・運転のしやすさ

初めての車になった場合でもすぐにボディサイズに馴染める運転のしやすさがありました。

小回りは効くし、なんといってもボンネットにある左右の張り出しのおかげで、かなり車両感覚が掴みやすかったです。

・後席の快適性能

リヤシートの快適さは価格を上回るレベルです。

チップアップを考える必要がないため座面が厚く、ニースペースもしっかりあるので、長時間乗せられても不満はないでしょう。

ヴェゼルでは設定のないグレードもあるリヤベンチレーションが全グレードに標準なのもポイントです。

少なくとも、後席に乗るなら現行ヴェゼルよりWR-Vです。

・LKASのレベル

ADASが全車速対応ACCではないのは不満ですが、レーンキープアシストの精度は高めで、実用的でした。

・回せば不満のないパワートレーン

コンベンショナルな1.5Lエンジンですが、VTECの効果なのか、CVTとのセッティングがよくできているのか、回せば不満のない加速をしてくれます。

エンジン音はそれなりに入ってきますが、まぁ価格を考えるとこんなもんでしょう。

全グレードにパドルシフトが装備されているのも良識です。

・燃費

エアコンは不使用でしたが、深夜の首都高の早い流れに乗って走った結果、メーター読みで19km/L前後でした。

カタログ燃費を上回る数値で、これくらいなら電動化がなくてもまったく不満にはならないでしょう。

 

◯気になる点

 

・インフォメーションの少なめなハンドリング

ハンドリングを語る車ではないのは承知の上で、あえていうならという内容ですが、ハンドルが終始軽めで、高速域でも変わりませんでした。

限界は高いようで、公道レベルでは切れば切っただけ曲がりますが、限界が近いのかまだまだ余裕なのかみたいなインフォメーションがほぼないのがやや不安になりました。

もしかしたら、タイヤの空気圧がかなり高めだったのかもと思っています。

・滑りやすいシート

シートが滑りやすいのが気になりました。

これがXのファブリックシートなら少しは改善されるのでしょうか。

ロードノイズ

価格を考えると不満に思ってはいけないのかもしれませんが、タイヤや舗装に関連して下から入ってくる音がかなり賑やかな印象を受けました。

エンジン音は音の質も含めてあまり気にならなかったので、余計に下からの音が目立ちました。

・太めのAピラー

ホンダ車としては珍しく、Aピラーが太めで視界に圧迫感があったのが気になりました。

・全車速対応が欲しいACC

実際に購入するにとっては分かっている話だと思いますが、やはり全車速対応のACCは欲しいところです。

他社では手引きサイドブレーキと全車速対応ACCの組み合わせがあるので、あと10万高くなってもぜひ実現して欲しいところです。

 

続いて、各論です。

 

◯デザイン

 

ホンダのSUVとしてはラギッド感のある、どちらかといえば最近の流行寄りのデザインだと思います。

存在感もあり、個人的には好みですが、フロントグリルだけなんかバランスの悪い感じがします。

 

◯走り

 

普通の使い方をする分には、加速に不満はなく、ハンドリングも限界は高いので、スイスイ走れると思います。

安くても、飛び道具を使わなくても、安心して走れる車はできるということでしょう。

ただし、EPSはもう少しアシスト量を減らしてもいいかなという感じはしました。

もちろんスーパーハイト系軽より、よく走り、よく曲がり、安心して長距離を走ることができます。

 

◯乗り心地

 

上を見ればもちろんキリがないですが、価格を考えるとよくできているという印象です。

エアボリュームのあるタイヤも効いていると思いますが、速めのコーナリング速度でも対応できる脚を考えると、この乗り心地と両立したのは評価できます。

 

◯ラゲッジ

 

2段底やチップアップ、スライドなど飛び道具はないですが、車格を考えると十分な容量が確保されています。

リヤシートを倒した時にフラットにならないのはあきらめましょう。

 

◯燃費

 

想像以上によかったという印象です。

渋滞の街乗りはさすがに厳しいでしょうが、流れの良い道ならハイブリッド要らずというくらいの燃費です。

 

◯価格

 

スーパーハイト軽より安い価格で、流行りのSUVが手に入ります。

おすすめは最廉価グレードのXです。(受注停止中ですが…)

このグレードを買って、Zとの差額で好みのホイールを履かせるなんていかがでしょう。

 

 

最後にこの車の印象のまとめです。

 

かつて、200万で使えるSUVというコンセプトで日産のエクストレイルがデビューしました。

あの車はWR-Vより大きいエンジン&ボディ、先進的な4WDシステムと、今考えると(当時でも)うらやましい車でした。

WR-Vは現代の初代エクストレイルのような車なのだと思います。

4WDこそないものの、初代エクストレイルより圧倒的に優れた安全性能を備えています。

もちろん走りに過不足なく、大人4人とその荷物を乗せて移動できる、こんな車が令和に200万少々で出てくるとは、なんともありがたいことだと思います。

ただしこれは日本が貧乏になってきたことの裏返しで、この車がヒットするということは、今後日本で販売する車は新興国向けに開発した車が適切になってくるという現実を突きつけられている気がします。

WR-Vは価格に制限があるからこそ、よりコンベンショナルでより車らしさのある素朴な車に仕上がっていると思いますし、そこが個性にもなっている車です。

家族用のファーストカーや友達を乗せて遊びに行く遊び車を探しているなら、軽ではなくぜひこちらを候補に入れて欲しいと思います。