BEVの拡販の星、日産サクラに遅ればせながら試乗してきました!
試乗したのはGグレードにプロパイロットやコネクトナビがオプション装備された仕様です。
まずは総論です。
◯良かった点
・軽自動車としては圧倒的な動的質感
軽自動車をBEVで作ると、こんなに良いものができるのか!
という走り・乗り心地の良さです。
加速に不満はなく、音も静か、その上乗り心地もしっとりしていて、並の普通車よりいいかもしれません。
試乗車は155/65R/14という軽自動車では標準的なサイズのタイヤでしたが、120km/h走行でもまったく不安感はなく、疲れ知らずで走れました。
・電費
これは意外だったのですが、暖房をちょこちょこ使いながら、120km/h巡航や高速の早い流れに乗り続けて走っていたのに、メーター上で8.9km/kwhという表示で、これはかなり良い電費なのではないでしょうか。
・軽×BEVのパッケージング
小さいとはいえ、それなりの容量のバッテリーを搭載しているにも関わらず、室内空間やラゲッジに目に見える影響を与えていないのは、空間の限られた軽自動車としては素晴らしいと思います。
・内装の質感
コストに制限がある中、フルディスプレイのメーターや、電制シフト、デイズとは異なるインパネデザインを採用し、内装にしっかりお金をかけていて、満足度が高まりそうです。
◯気になった点
・バッテリー容量
致命的な不満ではありませんが、やはり使い方によっては今のバッテリー容量では少ないという消費者の方が多いと思います。
今回の試乗(丸2時間、首都高メインで走行)でも、満充電/航続距離150kmから乗り始めましたが、みるみるバッテリー容量が減っていき、ゴールまで辿り着けるか不安になり、途中でヒーターを切り、後半は常にドキドキしっぱなしでした。
かといって、バッテリー搭載量を増やせば、重くなりコストも嵩むという悪循環が生まれてしまうため、解決策がなかなか出てこない問題です。
ただし、サクラを購入する方はこの点を理解して購入しているはずなので、シティコミューターとして見れば大きな不満にはならないでしょう。
ちなみに今回は満充電で乗り始め、丸2時間走り、帰ってくる頃には残容量が13%でした。
・価格
シティコミューターとみれば割高、ファーストカーにしようと思うと、航続距離が短いため、価格はもう少し安いといいのですが…。
しかも、充電ケーブルがオプション設定というのは驚きです。
BEVの入門車なのですから、標準装備にしてレスオプションにするのが筋だと思うのですが。
・シートヒーター
シートヒーターの強弱が調整できず、ONかOFFしかなく、入れっぱなしにできないのが面倒でした。
続いて、各論です。
◯デザイン
ボディカラーによって、男女関係なく乗れるデザインだと思います。
デイズよりはやや精悍な感じもするので、クラスレスな感じもします。
◯走り
日常よく使う、0kmから80kmくらいまでの加速が良く、街中はもちろん高速の合流でも従来の軽自動車を思えば、何の不満もないはずです。
ただし、それより上はアクセルを床まで踏んでも驚くような加速はないので、軽自動車に毛が生えた程度です。
とはいえ、120km/h巡航を静かで平和にこなせる性能は脱帽です。
◯乗り心地
首都高の大橋JCTを早いペースで回れるくらいロールが抑えられているにも関わらず、乗り心地はとても快適です。
軽自動車なので、フラットに保つというわけではありませんが、通常の軽自動車であれば、脚がバタついたり強い突き上げがあったりするようなシチュエーションでも、角を丸めてくれているので、とても快適でした。
◯ラゲッジ
ガソリン車と変わらない積載性は評価できる点です。
◯電費
高速の早い流れにガンガン乗って走り、途中で渋滞に巻き込まれたりしながらも、メーター読みで8.9km/kwhというのは、よく走ってくれたと思います。
ヒーターの使用は少し我慢しましたが。
◯価格
下のグレードになるとメーカーオプションが増え、あれもこれもと追加していくと高くなってしまいます。
今の電池容量のうちは、シティコミューターと割り切って、プロパイロットも省いてシンプルに買うことが賢いかもしれません。
最後にこの車の印象のまとめです。
街乗り試乗は何度かしており、今回初めて高速道路で試乗しましたが、驚きの性能でした。
静かで、加速・乗り心地は良く、室内空間は従来型の軽自動車と同じ。
この車に補助金まで出るわけですから、売れないわけありません。
航続距離については、シティコミューターなのですからこれ以上価格が高くなったり車重が重くなったりするなら、今の水準で問題ないと思います。
というか、そもそもサクラを満充電にしても従来の軽自動車であれば、間も無く燃料警告灯が点くかもう既に点いている状態程度の航続距離にしかならないので、乗る側がマインドセットを変えなければなりません。
この点をちゃんと理解した上での購入であれば、強くおすすめできる軽自動車です。
ただし、航続距離が短く感じるのはこの車の動的質感の高さがゆえだと思います。
軽でも、14インチの小さいタイヤでも、どこまでも走れる気持ち良さがあるから、もっと航続距離があればいいのに、と思ってしまったのは事実です。
航続距離については、今後出るといわれている、デイズのe-Powerに期待ということなのでしょう。